現在のヨーロッパにおける共通の排気ガス規制はEN13240です。
これにEU加盟各国が独自の制限、項目を設けています。
EN13240では燃焼効率と一酸化炭素(CO)のみに規制をしていましたがEcodesignでは上記の2項目の規制数値を引き上げ、微粒子(PM)、有機ガス状炭素(OGC)、窒素化合物(NOx)まで幅を広げられております。
これにより単純に燃焼効率を上げる事が出来ず、規制クリアが困難になっています。
各種排出ガスの概要は・・・
一酸化炭素(CO)とは・・・
薪が燃焼する際に酸素が不足し不完全燃焼をすると発生するガスであり、温室効果ガス(地球温暖化を促進する気体)の要因になる元素です。
高濃度下では一酸化炭素中毒を引き起こし死亡に至るリスクが高く、無味無臭な事からサイレントキラーなどと呼ばれています。
微粒子(PM)とは・・・
ニュースなどでご存じの方も多いと思いますが、μm(マイクロメートル単位)の極めて微細な粒子の総称です。
燃焼で生じたスス等が該当します。
一般的には建設現場の粉塵や自動車の排気ガスにも含まれており、発展途上国などでは深刻なスモッグなどを引き起こす要因となっています。
極めて微細な為、体内に沈着し深刻な健康被害を及ぼします。
WHO(世界保健機関)は 1㎥あたり10マイクログラムまでの年間平均濃度の暴露量を超えると健康リスクが高まると しています。
有機ガス状炭素(OGC)とは・・・
燃焼によって生じたガス状の炭素の総称で、元素単位の炭素が空気中で他炭素と結びつき2μⅿ以下の超微細粒子(PM2)に成長する要因となっています。
窒素化合物(NOx)とは・・・
窒素(N元素)は空気中や燃料(薪)の中に存在し単体では大きな害はありませんが高温で燃焼する際に酸素(O元素)と化合し生成される気体の総称です。
高温であるほど発生が促進します。
一酸化二窒素( N₂O )はCO₂(温室効果ガスの代表)の310倍の温室効果がありオゾン層の破壊の要因にもなっています。
ちなみに二酸化炭素(CO₂)は薪が十分な酸素と燃焼する際に生成される気体です。
温室効果ガスの代表ですが、植物であった薪が燃えて発生したCO₂は、植物が成長する際に吸収し酸素に変えて還してくれるので薪ストーブにおいてはカーボンニュートラルと言われ規制の対象外となっています。
現行規制に追加された各種排出ガスは、発生する際に相反する要因がありこれまでの燃焼技術では制限をクリアするのが難しい状況となっているのです。